欧州じゃMTが当たり前すぎて「MTが楽しい」なんて感覚すらない! アメリカじゃMTは特殊技能扱い! 世界のあまりに違いすぎるMT事情

この記事をまとめると

■欧州ではいまだにMT車が日常的に選ばれている

■MTが選ばれる理由は楽しいからではなくコスパ重視のためだ

■アメリカではMTによる運転は特殊技能のように認識されている

欧州はMTでアメリカはATという文化の背景

 ヨーロッパを巡っていると、MT車がまだ一定以上の割合で走っていることに気づく。たとえば、空港に到着したあと、ホテル送迎の小型バンに乗り込むと女性ドライバーがシフトチェンジを当たり前のようにしている。エントリーモデルなど比較的価格の安いモデルやグレードではMTを好む人が少なくない。

 一方で、いわゆるスーパーカーやハイパーカーの領域では、MT車はほとんどなくなった。 その昔、MT車といえばスポーツカーというイメージをもっていた人が多かったと思うが、ハイエンドモデルはハイブリッド化が進むなどしており、MTの姿は消えてシフトチェンジはパドルシフトが一般化している。

 こうした市場動向をどう見るべきなのか。

 過去数十年間に渡り、欧州各地で「なぜ、MT車が選ばれるのか?」という質問を自動車業界関係者のみならず、現地での知り合いやホテル・レストラン・バーなどの従業員に聞いてきたが「なぜ、そんなことが気になるのか?」と逆に質問されるシーンが数多くあった。そのうえでもっとも多かった答えは、「コスパがいいから」だった。新車価格が安く、燃費がよいのだから「当たり前だ」という見解だ。MT車だと「走りが楽しい」という意見は、一部の小型スポーツカー愛好家に限定されている印象がある。

 では、話をアメリカに移すと、状況は欧州と180度違う。

「なぜ、ATなど自動変速が主流なのか?」と聞くと、「なぜ、そんなことが気になるのか?」と逆に質問されるのだ。そのうえで、アメリカ人の多くがMT車を運転したことがない。一般的にMTを「スティックシフト」と呼ぶが、「あれは特殊な技能が必要」というイメージが強い。これは、メディア関係者でも同じだ。

 以前、アメリカで日系メーカーのクーペモデルの公道試乗会に参加した際、往路はサンフランシスコ市街からソノマレースウェイまでATモデルで行き、その場ではMTモデルが用意されていたのだが、アメリカ人メディアは誰ひとりとしてMT車を試乗しようとしなかった。サーキット走行はあくまでも試乗のオプションであり、同時間にカリフォルニアワインを堪能するランチ時間が長めに設定したあった。ちなみに、サンフランシスコ市街までの復路はバスとフェリーを乗り継ぐため運転する必要がなかったことを付け加えておく。

 そのうえで、「せっかくMT車でサーキット走行ができるのに、なぜ乗らないのか?」とメディア関係者たちに尋ねると「めったにMT車に乗らないから」とか「(そもそも)MT車に乗れない」といった声が多くて驚いた。

 アメリカでAT車が普及した理由については、米大手メーカー各社の事業計画における歴史的な背景を引き合いに出した説明もある。だが、そもそもアメリカ人は変速することに対してあまり関心がないといえるのかもしれない。

 以上、あくまでも経験談に基づく欧米での変速機事情に対する考察だ。


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桃田健史 MOMOTA KENJI

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